メタボが怖いのは「悪玉ホルモン」

メタボ

メタボ


現代人は、男性の2人に1人が、そして女性は5人に1人がメタポリック・シンドローム、まはその予備軍だといいます。メタポリック・シンドロームの診断基準をは以下のとおりです。

  1. 内臓脂肪の蓄積
    腹囲へそまわり) 男性85cm以上女性90cm以上
  2. 血清脂質異常
    中性脂肪150mg/dl以上HDLコレステロール40mg/dl未満
  3. 高血圧
    最高血圧130mmHG以上、最低血圧80mmHG以上
  4. 高血糖
    空腹時血糖110mg/dl以上

1の内臓脂肪の蓄積に加えて、2~4のうち2項目以上に当てはまるとメタポリック・シンドロームと診断されます。

男性がメタボになるリスクは、女性の4倍もあるといわれています。男性のはうが女性よりメタポリック・シンドロームになりやすいのには、じつは医学的な原因があるのです。

メタポリック・シンドロームの病態生理学的原因は3つあります。ひとつめは「食べすぎ」、2つ日は「運動不足」、3つ目の原因は、「男性の更年期障害(PADAM)」です。昔は更年期障害があるのは女性だけで、男性に更年期障害はないと考えられてきました。しかし、男性でも更年期障害に苦しむ人が増えるに従い、研究が進み、認知度も上がってきています。

女性の更年期障害が、女性ホルモンであるエストロゲンの低下によってもたらされるように、男性の更年期障害は、男性ホルモンであるテストステロンの低下によってもたらされます。

ともに性ホルモンの低下によって起こるのは同じですが、その症状はまったく違います。女性の更年期障害が、生理不順やホットフラッシュと呼ばれる、ほてりやのぼせなどの身体症状を主とするのに対し、男性の更年期障害は、うつ病に似た精神症状を主とします。
そのため、男性のうつ病患者の中にはかなりの数の男性更年期障害が含まれているといわれています。

中高年の男性のうつ病の半数はうつではなく更年期障害だったといいます。女性の更年期障害は、症状の程度に違いはあるものの、閉経期には誰もが経験する自然のリズムに即したものです。

しかし男性の更年期障害は、あきらかな異常です。本来、男性ホルモンは、30歳をピークに年に1% ずつ、死ぬまで徐々に低下していきます。これが健康な人の正常な性ホルモン減少パターンです。

ところが、男性更年期障害が現れる人というのは、年に1%ずつしか減少しないはずのテストステロンが、急激に低下してしまうのです。男性更年期障害のさまざまな症状は、この自然のリズムに反した「急激なテストステロンの低下」によって生じています。

では、なぜ急激な変化が起きてしまうのでしょう。なぜそうした人がいま、増えているのでしょうか。

それは、その原因が「ストレス」にあるからです。ここではテストステロンの急激な低下がメタポリック・シンドロームに関係しているということを理解していただきたいと思います。

注目すべきポイントは、メタポリック・シンドロームは、中高年に多いということです。たんに食べすぎと運動不足が原因なのであれば、10代や20代の若い世代にも同じ割合でメタポリック・シンドロームの人がいてもいいはずです。

しかし、実際には同じ食べすぎと運動不足の状態でも、若い人は内臓脂肪ではなく皮下脂肪として蓄えられるため、肥満にはなってもメタポリック・シンドロームになる人はあまり多くありません。実際、さまざまなデータを見ていくと、テストステロンと内臓脂肪には、ほとんど反比例の関係があることがわかります。

つまり、男性ホルモン「テストステロン」が低下すると、同じ脂肪の蓄積でも、皮下脂肪ではなく、内臓脂肪として蓄えられやすくなるということです。内臓脂肪と皮下脂肪、つく場所が違うだけで同じ脂肪だと思ったら大間違いです。なぜなら内臓脂肪には、皮下脂肪にはないとても怖い性質があるからです。

それは「アディポサイトカイン」と総称される、体に悪影響を及ぼすホルモンを生産するという性質です。通常、ホルモンというのは、適量なら体によいが多すぎると悪影響を及ぼすというように、人間と同様一概には悪玉とも善玉とも言い切れない性質のものですが、このアディポサイトカインだけは違います。

ほとんどが「悪玉ホルモン」で、生産されないほうがいいホルモンなのです。アディポサイトカインに含まれる代表的なものとしては、インシュリンの働きを低下させて糖尿病を誘発する「レジスチン」や、血管に炎症を起こして動脈硬化を誘発する「TNF- α」などがあります。内臓脂肪の蓄積が糖尿病や高血圧、脂質異常症を促進させる理由も、このアディポサイトカインにあるのです。

このように、男性更年期障害による男性ホルモンの低下が内臓脂肪の蓄積を促進するので、同じ中高年でも、男性のほうが女性よりメタポリック・シンドロームのリスクが4倍も高くなってしまうのです。