筋肉は量より質

筋肉は量より質

筋肉は量より質


体温を上げるためには、筋肉を鍛えることが必要だということ、そして、筋肉を鍛えるためには、無酸素運動が有効だというこです。

では、体温を上げるためには、どの程度の無酸素運動をすればいいのでしょう。「腹筋30回、腕立て伏せ30回、スクワット50回、これを3セットずつ」というような具体的な回数を知りたいと思っていた方には期待を裏切ることになりますが、じつは筋肉を鍛えるうえでもっとも大切なのは回数や負荷ではないのです。

筋肉を鍛えるうえでもっとも大切なのは、「脳から筋肉への神経の経路を鍛える」ことです。たしかに回数を増やしたり、徐々に負荷を増やしたりしていけば、筋肉は太く発達していきます。
でもそれは、いわば「見せかけだけの筋肉」にすぎません。本当の意味でパフォーマンスを発揮できる筋肉を身につけるためには、脳から筋肉への神経の経路を鍛えることがとても重要なのです。

脳から筋肉への神経の経路を鍛える。それは脳が指令を出してから筋肉が反応するまでの速度を上げるトレーニングをするということです。
具体的にいえば、負荷は軽くていいので、自分の筋肉が発揮できる最大のスピードで筋肉を動かすということです。たとえば、ベンチプレスなら負荷は30~40キロ程度(これは自分がラクに上げられる重さでいいので、もっと軽くてもかまいません)でいいので、とにかくそれを最大限のスピードでプッシュアップするのです。

このトレーニングはマシンがなくてもできます。距離は10メートルでも20メートルでも、短くていいので、とにかくゴールまで1秒でも早く到達するように全力でダッシュする。

これでも神経経路は充分鍛えられます。回数は1回でもかまいません。2回、3回と回数を重ねれば、それだけ効果も高まりますが、回数を行うことによってスピードが落ちるくらいなら、回数は少なくてもいいので、とにかくいまの筋肉がもてる最大限の能力を引き出すことを心がけてください。

このトレーニングでもっとも重要なのは、回数でも負荷でもなく「クオリティ」です。たんに筋肉を鍛えるだけでなく、ダイエットも行いたい人は、このように全速力で20メートル走ってから、30分間のウォーキングなり、ジョギングなりをすると、最小限の運動で、最大の結果を得ることができます。

アメリカンフットボールを見ていると、ランニングバックの選手は、ボールをもった状態で、全速力で走りながら、さらにタックルをかわすために「直角」で曲がるという神業を見せますが、こうしたことができるのも、神経経路を鍛えるトレーニングを積んだ結果です。

アメリカのプロスポーツ選手がすばらしい身体能力を発揮できるのは、じつはこうしたトレーニング法が日常のトレーニングに組み込まれているからなのです。
でも残念なことに、日本では一般の人の筋肉トレーニングはもちろん、プロに対する指導でもこうしたトレーニング法は行われていません。

その結果が如実に表れたのが、バリー・ボンズ選手と清原和博選手の違いです。私は清清原選手の筋肉は、見た目だけはバリー・ボンズ選手に引けをとらないほど立派です。

でも、そのパフォーマンスとなると、残念ながらボンズ選手には遠く及ばないといわざるを得ません。清原選手は、体重90キロのとき、ベンチプレスの最高量量が140キロだったといいます。たしかに140キロを上げること自体はすごいことなのですが、あれだけの筋肉があるのなら、本当は160キロとか180キロ程度上げられなければならないはずなのです。

それが140キロ止まりだったということは、トレーニングのクオリティがよくなかったということです。また、清原選手は、何度もけがに悩まされてきましたが、これも、筋肉の質を高めないまま筋肉量を増やしてしまった結果といえます。

上半身の筋力に比べて、下半身の筋肉のバランスにも問題があったといえます。清原選手は日本人としては非常に恵まれた資質をもっていました。あれだけの筋肉をつくり上げられる人は滅多にいません。それだけに、神経経路を鍛えるトレーニングを行っていればと思うと残念でなりません。